スリービーンズは、2013年から2019年5月までデイサービスの生活相談員という職種対象の講座を開催していました。高齢者介護事業の研修ですが、まったく畑違いのスリービーンズが手掛けたのは、ちょっとした驚きがきっかけでした。
生活相談員は、デイサービス(厳密にはその他施設もですが、ここではデイサービスに特化します)に配置義務が課せられている職種です。営業時間中は”いなくてはならない”のに、その職務内容や資質等に関しては特段明記されておらず、資格要件だけが定められています。(介護福祉士などの介護関連資格や、社会福祉主事任用資格など)
デイサービスにいなくてはならず、資格要件があって誰でもなれるわけでもないのに、研修体制が不十分であることに疑問を持ちました。そして、出会った生活相談員さんたちの多くが、自分の立場や何をしたら良いのかなどを孤独に悩んでいらっしゃいました。
おこがましい言いかたになりますが、生活相談員さんの悩みを解消する場所を作りたい、少しでも励ますことができれば、という思いで、介護事業に詳しい友人に講師を頼み、講座を開催する運びになったというわけです。同時に、Facebookページで情報発信をしたり、交流会を開催するなどもしました。それが、デイサービス生活相談員ネットワークという活動です。
今では生活相談員という名称も役割もかなり浸透してきて、デイサービス生活相談員ネットワークの役割も一定程度果たし終わったと感じ、2019年5月の講座開催を最後に活動を終了いたしました。せっかくのナレッジなので、その当時の記事などをもとに、生活相談員についての内容を上げておきます。デイサービスに限定した表記になっていますが、他の施設でもご参考になるかと思います。
生活相談員とは
生活相談員は、デイサービスなどで働く職種名称です。就くためには、社会福祉士などの介護関連資格や大学で特定の3科目を履修している社会福祉主事任用資格に該当するなどの資格要件が必要です。
おもな仕事内容は、利用者受け入れの際の窓口的な役割や、デイサービス内でのサービス計画の提案です。実際には、経営者が契約の一連業務を担ったり、ベテラン介護職員がサービス計画を立てたりすることもありますが、利用者の意向を聞き取り、ケアマネジャーや内外の連携を図り、スムーズなサービス提供を行うかなめ的存在であると言えます。
生活相談員の資格要件
○社会福祉士
○精神保健福祉士
○社会福祉主事任用資格(いわゆる3科目主事)
卒業証明書・履修証明書(成績証明書)
※学校独自で、社会福祉主事任用資格を証する書類を発行する場合がある。
・その他、事業所が所在する都道府県(一部大きな市は独自ルールあり)の追加要件
○介護福祉士
○介護支援専門員
○施設長や、介護計画に携わる経験が長い場合など
生活相談員の必要性
利用者が何か相談したいことがあったときに、すぐに応じられるためということで、相談員は営業時間中は事業所内にいることが求められています。(多少の緩和要件はあり)
「相談業務」の必要性について、高齢者ならではの事情があることを理解しておくと良いでしょう。
- ・家族に遠慮して本音が言えない
- ・判断能力が低下して意思疎通が難しい
- ・耳が遠くて聞こえない
ケアマネジャーとの違い
ケアプランの作成や、内外との連絡調整の役割から、ケアマネジャーとの違いが分かりにくいともいわれています。図で整理してみましので、ご参考になればと思います。
ケアマネジャーは、正式には介護支援専門員という資格名称です。一定の実務経験があったうえで受験資格が得られます。試験に合格して初めて、ケアマネジャーになれます。
生活相談員は、必ずしも実務経験が求められてはいません。就くための資格要件はありますが、資格ではなく職種名称です。
利用者は複数のサービスを組み合わせて利用することがあります。その場合、複数の事業者のプランをトータルで考えて調整するのがケアマネジャーの大きな役割です。利用者の専用マネジャーのようなかたちです。利用者によっては、月曜日はリハビリのデイサービスに通い、水曜日は入浴サービスのあるデイサービスに通うといった具合に、目的にあった複数のデイサービスを利用することもあります。また、訪問介護や訪問看護などの在宅サービスを利用することもあります。その組み合わせを考えて、それぞれの事業所と連絡調整するのがケアマネジャーです。
生活相談員は、デイサービスに在籍しています。デイサービス内のサービス利用を考えて、職員と連携して適宜なサービス提供を行います。
ケアマネジャーは、利用者の生活環境や複数のサービス利用など、全般を見て計画を立てます。ただし、常に寄り添って近くにいるわけではないので、利用者の細かい変化や意向には気づきにくい場合もあります。
生活相談員は、デイサービス来所中は利用者と近い位置にいるので、ちょっとした変化にも気づきやすく、また気軽に相談を受ける位置にいます。利用者目線で状態や意向をとらえて、ケアマネジャーに伝えることが大きな役割です。
ケアマネジャーは、医療・介護の専門職や、多くの施設・事業所と連携して地域資源を上手に活用して、利用者のために動くことができます。
生活相談人は、地域密着で生活者目線の活動に参加したり、情報を得ることができます。利用者の日々の暮らしの延長で、サービス利用を提供し、社会参加の機会を設けることができます。
生活相談員は、利用者の状態変化や意向などの情報をケアマネジャーに伝え、ケアマネジャーはその情報をもとにケアプランを見直すなど、連携することで、利用者のためにより良いサービス提供が行えます。
↓生活相談員の具体的な業務HOWTOについては、こちらがおススメです。